「世界で最も貧しい大統領」ウルグアイ元大統領のホセ・ムヒカ氏とNGOピースボート

「世界で最も貧しい大統領」

「世界一貧しい大統領」

世界中から注目を集め、「世界で最も貧しい大統領」「世界一貧しい大統領」呼ばれるウルグアイのホセ・ムヒカ元大統領。ホセ・ムヒカ氏の逸話、伝説、エピソードなどは、これまでも多くの人、著書、翻訳本などでも知られている。

ホセ・ムヒカ氏の伝説のスピーチを翻訳した友人のブログ「ムヒカ大統領のスピーチを翻訳して思ったこと」も紹介しますので、是非参考に。

私の家にも、数冊彼を取り上げた本がある。

子どもも少しずつ読んでいる(ことを期待したい):笑

子ども向けの本もお勧めです。ひらがな中心

ホセ・ムヒカ氏がNGOピースボートに乗船した理由

政界引退後も、世界中からの注目は止まらない。

彼自身、ウルグアイの郊外で暮らし、元大統領とは到底思えないアットホームな生活、人間関係を築き続けている。おなじみの愛車ビートル、農機具なども健在だ。

すべてが彼の個性、彼の支持された理由だと思う。

現地時間2017年1月25日、国際交流をコーディネートするNGOピースボートの船、オーシャンドリーム号への乗船が実現した。

この日も変わらず。「ボロボロ」愛車ビートルで登場 ※ピースボートHPより引用

まずは、ピースボートの紹介。

ピースボートは年に3回の世界一周の船旅を行っている。

その中でもスエズ運河、パナマ運河、またヨーロッパなどを一切通らない南半球のみを回るクルーズが行われている。その昔、かの有名なマゼランが世界一周を実現した航路に近い。

ピースボートで1~2年に一度の頻度で実施される南半球回りの世界一周の船旅では、ウルグアイ(モンテビデオ)に訪れている。私がウルグアイを訪れた際も、実は現職のムヒカ大統領を何とか招待できないか、、、と議論にあがっていた。

今回なぜホセ・ムヒカ氏の来訪が決まったのか?

そもそも友好関係があったわけでもない。

ピースボートは、どのような著名人とコンタクトをとる際も、「誰かの思い付きのアイディア」と「体当たりの交渉」、または「紹介」が基本。もっと言えば講演料などギャラなども全く発生しないのがピースボートの方法。基本としてあるのは、その人と一緒に船に乗りたいという情熱のみ。

ただそれでも人は、ピースボートへやってくる。

なぜ??

キューバのフィデル・カストロ氏とピースボート。体調も優れない中、参加者700人の前の2時間以上のスピーチ。話は止まらない(笑)
※ピースボートHPより引用

一歩、二歩下がって、客観的にピースボートを見てみると本当によくわかる。

国際交流の船旅を市民レベルで続けている

ピースボートは国際NGOとして1983年に設立。

一度も催行中止なく、休まず走り続けている。

その功績が認められ、2002年に国連の協議資格を取得した。

その後、ピースボートは、自身が行っている国際交流の船旅、活動、世界の状況を国連に報告している。

なぜピースボートは国連の協議資格を取得できたのか?

それは、国ではなく、NGO(非政府組織)・民間レベルでずっと船を出し続けることの大きな評価だと考える。国連も、もちろん他の組織も、30年以上も休まず世界を回り続けることはできないでしょう。もし自分がイチからこのようなサイクルを作ろう!と考え付いたとしても

到底できることではない。まさに世界で一つだけの船

ホセ・ムヒカ氏が来訪した理由も、まさに国連とのタイアップ、また世界を回り続けるからこそできる活動、プロジェクトが評価されてのこと。

出航直後の岸壁。
港業務の仕事人の現場です。

国連「持続可能な開発目標」 (以下SDGs) の達成を目指すさまざまなプロジェクト

ピースボートでは、2016年8月に出航した地球一周の船旅を皮切りに船体にこのSDGsのロゴマークをペイント。もちろん、その前からMDGsの時から、ロゴは本船に入れて世界中回り続けている。世界中の港で、SDGsの重要性をアピールしながら、船内では国連関係者を含む多彩なゲストやユースを各国から招き、講義やワークショップ、ピースボート参加者との交流などを通じて、世界の問題改善への理解を深めている。さらに、MDGsのもとでこれまで行ってきたように、SDGsのもとでも持続可能な開発にむけて国連や国際機関などに政策提言を行うなど、積極的に活動してる。

国連との活動が形になり、本船にSGDsのロゴが印字された ※ピースボートHPより引用

エコシップ建造計画

ピースボートは5万5000総トン型の2000人乗り客船を建造し、2020年に就航させる計画を進めている。デッキ上に帆を10基設置するほか、LNG燃料推進、太陽光発電、排熱回収システムなどの環境対応装置を装備し、二酸化炭素(CO2)40%削減や廃棄物の削減などを目指している。客船の環境への負荷へのイメージを名実ともに払拭。世界を回れば回るほど、国際交流、国際協力を実現できる、まさにピースボートならではの活動。

ピースボート、エコシップ

おりづるプロジェクト

広島・長崎など国内外のヒバクシャとともに船旅を通じて世界各地で原爆被害の証言を実施し、核廃絶のメッセージを世界に届ける活動。また、各国の専門家、NGO、国会議員、国連職員らを船上に招き、核兵器禁止条約のためのセミナーや、中東非核地帯化のための洋上会議などを開催している。これまで多くのヒバクシャが世界中で証言した。

例えば、原爆を投下したアメリカ。アメリカの高校生ですら投下のことをあまり知らない、または投下したことは良かったという認識、教育を受けている。

その高校生は当事者が話すヒバク証言を聞いて本当にショックを隠し切れない状況になる。核を使うということは、どのような状況であっても正当化されるべきことではなく、非人道的であるということがわかるからだ。アメリカの高校生にとって深く深く考えるきっかけになっている。これをおりづるプロジェクトは世界中で行っている。

あれから72年。ヒロシマ、ナガサキと原爆の被害にあっている日本国内に住んでいる私たちですら、当事者から直接ヒバク体験を聞くことができない時代になってきた。

この活動の重要性を感じると共に、ピースボートだからできる活動であると思う

原爆乙女・笹森恵子さんと小学生。長女も目の前で一生懸命話すシゲコさんの話を聞いていた

他にも、たくさんのプロジェクトがある。

支援物資を世界中に届ける

UPA国際協力プロジェクト

アフリカ・エリトリアにて
日本国内で集めたサッカーボールを直接手渡す

また、洋上での専門的な実践型ゼミ、寄港地で体験型のエクスポージャーが行われる

地球大学

地球大学の寄港地エクスポージャーの受講生たち
※ピースボートHPより引用

など、ピースボートには20ものプロジェクトがある。

このような活動を続けていることが、国連、国家元首レベルから、先住民、NGO、施設レベルまで幅広い支持を受け、カウンターパートナーシップを築けている理由であり

今回、ホセ・ムヒカ氏がNGOピースボートに乗船した理由だと考える。

そして、この歴史的な一日を作った、全ての職員の頑張りだと思う。

私個人としては「当日」直接関われなかったことは残念だが、

「日々の活動」がこの一日を作ったのかなと勝手ながら自信を持っていきたいと思う。

ホセ・ムヒカ氏、連れ合いのルシアさんとピースボートスタッフ。 ピースボート本船にて ※ピースボートHPより引用

「ムヒカ元大統領スピーチ全文」

下記、2017年1月、NGOピースボート船内で話された
ホセ・ムヒカ氏のスピーチ全文

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「ムヒカ元大統領スピーチ全文」

日本の友だちの皆さま
お越しいただきありがとうございます。

ようこそウルグアイへ。

ここには350万の人がいて、牛の数はその4倍います。

この国は人口は少ないですが南米一公平な国だと言えます。

この国は1916年、南米で最初に女性が離婚できる権利と男女平等選挙を実現させた国です。

小さい国ですが100年前から教育を公的機関がおこなっていて
まだ決して完全ではありませんが、差別や人権問題も少ない国です。

ひとりあたりの肉の消費量は世界一、コレステロールいっぱいの国です(笑)

ここに来たら世界一おいしいお肉が食べられます。

この船は日本から平和と平等、人権のために
そして性別の平等性、非核の大切さを世界に運び、めぐる船です。
その活動を私も応援しています。

もし考えが違う人たちから理解をされないときがあっても、がんばってください。

これからの世代、未来の世代へむけて、いま、この地球の自然を守ること、
お互いの紛争をなくすことは私たちの責務です。

テクノロジーの爆発と消費主義により
世界中で苦しみ、戦争で亡くなっていくのは一番貧困な立場にある人たちです。

(大統領だったのに質素な暮らしをしているため)
私と妻は、「変わっている」とよく言われますが誰よりも思っていることは
モノをたくさん持たずにシンプルな人生を送りたいということです。

それは、命、そして人生を愛しているからです。

命を大切にするということは時間を大切にすること。
時間とは買えないものであり、人生の時間はスーパーでは買えません。

お金でモノを買うときは、あなたの人生を使ったお金を使っていて
お金を生まれさせるためのお金を払っているのです。

そのお金に惑わされないでください。
その金を使いすぎると、人生の時間がなくなってしまいます。

利益とマーケットが一番ではなくその上に人生、命があるのです。

私たちの人生の闘いは時間を持ち、その時間で
お互いの気持ちを確かめ合うためのものなのです。

子どもや友だちのため、そして人生を愛するために時間はあります。

日本は美しい。ですが
それよりも美しいものは、
この地球の、この惑星の美しさなのです。

世界の人びとはみんな兄弟なのです。

黒人、白人、黄色人種‥そうゆうものは関係なく、
あるのものひとつ、人間である
ということだけなのです。

人に受け入れられるためだけ生きるのではなく、
自分の思うことをやってみてください。

そして、SDG’sのすべてのタイトル
(各ゴールの目標)の達成のために
がんばってください。

皆さん本当にありがとうございました。

2017年 1月 ピースボート船内にて 

ホセ・ムヒカ前大統領

ホセ・ムヒカ氏
ピースボート本船にて
※ピースボートHPより引用

ホセ・ムヒカ氏は「世界で最も貧しい大統領」

「世界一貧しい大統領」なのか?

私はウルグアイには何度か訪れたことがあるが、全く関わりがない人から聞いたら

そもそもウルグアイのこと自体も耳にも入らないかもしれない。

※個人的にはサッカーワールドカップの第1回目の開催国、しかも優勝国!というだけで注目している

「世界で最も貧しい大統領」「世界一貧しい大統領」

この呼び方は、少なくとも、私も含めて非常に覚えやすく、インパクトがあった。

そう呼ばれる理由は、よく取り上げられる注目されやすい姿を見てもらえれば何となくわかると思う。給料はほとんど寄付、自家用車で自分で運転する、何ならヒッチハイクしていた市民も乗せてしまう等など、一般的な大統領、政界の人では到底想像できない。

個人的には逆に、それができてしまうこと、そして大統領にまで上り詰めたことがすごいと思う。

もしかしたら彼の中では大統領になった理由も一つの表現方法なのかもしれない、と仮設を立ててしまうくらい、大きな野望があったのでは?と思ってしまうほど。

彼自身、ありのままの自分を表現し続けて、大統領まで上り詰め、そして世界中に彼の思いをそのままぶつけた結果、政界を引退した今でも世界中から注目を浴びている。

彼の人を引き付ける魅力は、まだまだ計り知れない。

生でスピーチを聞いたピースボートに乗っていた参加者の人たちは、すごい瞬間に立ち会ったと思う。

ムヒカ氏自身は「世界一貧しい」と言われるのはきらいとのこと。

これまでにも「自分は貧しいのではなく、質素が好きなだけ」と、発言している。

それも彼らしい表現だ。

ピースボートのスピーチでは

使い捨ての社会ではない、「幸せを求める社会」の実現に向け、ともに歩んでゆくこと

を誓った。

思い描く住みやすい社会、持続可能な社会になるまで、彼は語り続けると思う。

語り続けてほしいと願う。

三浦・父

つぶらな瞳に大きな顔。
頭回りは61.5㎝

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