北杜市地域おこし協力隊 支援機関紹介

地域おこし協力隊の意見交換会にて

山梨県北杜市に移住し、地域おこし協力隊として活動している経験と分析をお伝えする。

前回の記事でも紹介させていただいたが、現在は募集枠がほぼない為、早くても2021年度(令和3年度)あたりであれば、スムーズに地域おこし協力隊制度を活用できるタイミングとなる、はず。

詳しくは
【2021年度(令和3年度)北杜市地域おこし協力隊の募集について】参照

全国の地域おこし協力隊

総務省の制度である地域おこし協力隊制度の実施主体は「地方公共団体」である。
つまりは市役所がどのように制度を活用し、地域をおこそうと企むかも、重要なポイントで、かつ、移住者、若者がどう地方でナリワイ、事業、ビジネス、生き方、自分のやりたいことにつながるか、最終的には移住定住するかどうかにもつながると思う。個人の力だけではなく、行政、移住者、地元、企業などの連携が必要。

とはいえ、移住者の行動力、ビジネスセンスなど経験ももちろん重要なポイントで、
地域に根差して当事者として活動すること、そして両者が、かみ合うこともかなり重要。

まず、北杜市の支援機関紹介の前に、私の友人が活動している全国の地域おこし協力隊の事例を紹介する。

★鹿児島県種子島にて
生姜産業を復活させるべく農園経営からカフェをOPENさせた。地域おこし協力隊制度が始まった2009年当初に隊員として活動し、今では地元のキーマンに。
なかわり生姜山農園はコチラ
Cafe&Restaurant Ginger Villageはコチラ

★静岡県南伊豆にて
地元のイケてる大人達を紹介し、実際の生の暮らしを伝える新しい交流の仕組み。一対一の対話を重視した滞在型の体験プログラム。現役地域おこし協力隊員。
南伊豆くらし図鑑はコチラ
南伊豆新聞はコチラ

★長野県茅野市にて
北杜市もほど近い茅野。個人的に高砂樹史さんに興味が!
長野県茅野市地域おこし協力隊募集要項はコチラ

★石川県七尾市にて
地元のキーマンと行政がかみ合って、地域を盛り上げている。実際に現場はどんな活動をしているのか、近いうちインタビューに行きたいと思っている。
能登半島七尾移住計画はこちら

★岩手県遠野市にて
「ポスト資本主義社会を具現化せよ」を合言葉に、行政、企業、起業家、コーディネーターが連携して地元に必要なプロジェクトを作っていく。行政とタッグを組み、地域おこし協力隊制度を活用し、たくさんの起業家とコーディネーターを送りこみスタートした。
Next Commons Labはコチラ

北杜市地域おこし協力隊

上記の事例をみると、どことなく「地域おこし」という単語の意味合いと活動が一致するのが良くわかる。
活動場所、活動内容など様々なので、自分がどこで何を活動したいのか、によって選んだら良いと思う。

一方、北杜市では市役所、または地域(公民館等)に勤務するのではなく、北杜市内にある「支援機関」に勤務するスタイルとなる。私の所属する北杜市農業地域おこし協力隊の場合、市役所とは、月に一度の活動日報の提出、経費清算でお世話になるが、自ら用事がない限り、1年間近く顔を合わさないこともあるほど。

北杜市の場合、まずは、農政課、観光課、林政課の3つの部署から、自分のやりたいジャンルを選択する。
全国の事例にあるような、地域資源を見つけ、地域にない新しい視点で、社会課題を解決しビジネスを展開する、ということではなく、北杜市にある一次産業などを盛り上げる、スキルを身につけ独立を目指す、という意味合いが強い。

ただ、配属先を決めるにあたり、問題の一つにあがるのが、「配属先、または北杜市地域おこしに関する情報が少ない」ということ。

多くの協力隊希望者は、募集要項を出している「支援機関」を検索して、直接視察を始めたり、履歴書を提出したりすることがほとんどであり、北杜市役所のホームページには、実際、どのような活動をするのか、どんな団体が何団体あるのかなど、情報量がほぼ皆無であり、ホームページは平成22年あたりで止まっている。

情報量が少ない、またはマッチングしない行政側の理由は、おそらく、こうだ

更新している時間と内容がない、北杜市役所もお任せしっぱなしで支援機関の現状がわからない、地域おこし協力隊員がどんなスキルとやる気があるか、それがどう活かせるか、どの団体が合うのかわからないという具合。
また、仮に行政がマッチングをした後に、問題が起こった時のことを考えて、責任を取ることができないからあまり関与しないという具合かなと。

大きくは、支援機関に勤務してもらう以外、地域おこし協力隊のプロジェクトがない、アイディアやビジョンがない、ということも挙げられる。つまり、一大決心して移住してきた若者たちを、「扱える」プラットホームがない、という現状。

ただ、もちろんのこと、移住者も即戦力になるような経営センスや実行力、経験がある人材が多いわけでもなく、田舎で鍛えていこう、という段階の人も多いのも事実。

さらには、支援機関も運営、経営で、日々忙しい。

さて、この現状は、何かしらのシステムを作らないと、ミスマッチ、歯車が合わなくなりそうだな、と想像がつく。
みんなが不幸になってもおかしくない受け入れ体制だ、とも言える。

北杜市農業地域おこし協力隊 受け入れ 支援支援機関

と、いいつつも、たくさんの支援機関を回らせていただき、地域、団体、農業、移住者に対する代表者の想いを聞くことができ、少なからず、すっきりした。山梨県、北杜市、地域おこし協力隊員、支援機関、全ての方向性が見えた気がした。
そして、「農業」は北杜市の武器である、と改めて、実感した。

情報が少ないこの制度に関して、少しでもお役に立てたら、嬉しい。
団体の紹介というよりは、団体の代表者の方(または農場長)がどのような経緯で北杜にいて、農場を志しているのか、
北杜や農場への「想い」を中心的にインタビューした。

実際は、移住する前に、直接訪れたり、作業に関わってみると良いと思う。
私は個人的にみなさんと呑みにいきたい、と思った。

株式会社ファーマン 井上能孝さん

ファーマン井上能孝さん

山梨県認定青年農業士・有機JAS認定・山梨県GAP認証取得
埼玉県所沢市出身。元スケートボーダー。高校時代にオレゴン州へ渡米。ホームステイ先で見学した大規模農業の現場を見たことが農業を始めるきっかけ。何となく始めようと思った農業のイメージを変えてくれた埼玉県小川町の金子美登さん(NPO法人全国有機農業推進協議会理事長)の影響を受け、東所沢、田中義和さんの元で農業研修を始める。自然の力を借りる有機農業の魅力を知り、就農。地元からも近く、オレゴン州のMt.フットのような広大な山、澄んだ空気、おいしい水のある北杜市に魅せられて移住を決意。現在は高根町・長坂町などが主な生産圃場となっている。
地域おこし協力隊、または農業に携わりたいという人たちとの関わりの中で、その人のモチベーション、姿勢、本質を理解しようと心掛けている。独立、就職、その他事業など、その人に合った手法があり実践できるのが農業の魅力だと思っている。本人の積極性を応援したいと語る。井上さんはやりたいことが事業化できるのか、仕事になるのか、そして時間を順守し、時間外の努力をするなど、時間をどう使うかを追及している。
経営のことを考えて通年雇用できるスタイルを追求し、品目を絞り貯蔵のきく根菜類を中心に生産。トン単位で安定供給できるポテンシャルがある団体として、大手の販路を持つファーマン。「食育」を大切なテーマの一つにし、北杜農産物ブランド化、組織経営の追求、地域との連携、農業・自然食育体験などを通した消費者との出会いを大切にしている。ホップ、果樹作り、農福連携、インバウンド、ハーブガーデンなども面白いと思っている。多様性ある北杜市ではやりたいことは尽きないそう。

<従業員数(協力隊除く)>
3名+パートアルバイト3名ほど
<作物の種類(各作物の作付け規模)>
根菜類(ジャガイモ、玉ねぎ、ニンジン、ニンニク、etc)など20品目ほど

余談:スケートボードを抱え、金髪(ガン黒ギャル付き)で北杜市農政課を訪れた過去も。「地中にスピーカーを埋めてトマトにロックを聞かせる独自の農法を生み出すが、全く影響がなかった」と語る、ヤンチャで無邪気な井上さん。1年間無給で修業する道を選んだ時期もあるという。

ファーマンのホームページはこちら

FOOD AGRI NEXT LAB 八木橋晃さん

FOOD AGRI NEXT LAB 八木橋晃さん

東京出身。山梨県に出入りすることが多く、幼少期から南アルプスの山にも登っていた。
東日本大震災をきっかけに食と住を考え直し、地方と都市をつなぐ架け橋になれないかと考えるようになった。地域資源、立地などを考慮し馴染みある北杜市を活動の拠点として、増富地区で農業を始めた。

元々IT分野で様々な新規事業を手掛けてきたこともあり、オンラインではなく、オフラインでの人との交流に力を入れている。新しい農と食のデザインや地方と都市を結ぶ新たなコミュニティを作り出すコミュニティデザイナーの創出など、新しいアイディアと北杜市にある資源を活用したい。そう考え、新しい交流の場「FOOD AGRI NEXT LAB(FAN LAB)」を立ち上げた。今後も農作業はもちろん、北杜市の地域おこし協力隊員や移住者、そして地元の人たちが協力してコミュニティ作りに参加し魅力を発信していけるよう、また新規就農のサポートをしていく。今回のイベント会場である大泉町宮地の古民家も気軽に出入りできるコミュニティ、農の拠点として活用してほしい、と八木橋さんは笑顔で語っていた。

<作物の種類(各作物の作付け規模)>
・1町歩5反
玉ねぎ、じゃがいも、きゅうり、ニンジン、トマト、モロコシ、ビーツ、葉物、夏野菜全般など

FOOD AGRI NEXT LAB(FAN LAB)のホームページはこちら

白州杜苑 中嶋勇一郎さん

白州杜苑 中嶋勇一郎さん

有機JAS認定、無農薬・有機栽培野菜の生産農家

福岡県出身。東京に隣接している山梨県に「縁」があり、地域資源と直感に近い感性を信じて白州に移住。それまでは東京都にてアパレル業界に従事し、やるならNO.1を目指すという内に秘めた思いを武器に、営業力、接客力に磨きをかけ続けた。農業、強いては販路を開拓する上でも大事なスキルであると実感しているそう。「農業は絶対になくならない産業」とアツく淡々と語る中嶋さん。人口減少、AI化が進み仕事が無くなっていく時代の中、食べること、食への関心は絶えず、農業の重要性、可能性を語っていただく。

最も印象的だったことは、最後までやりきるという行動力、また先見の明を持ち合わせた判断力にあふれていること。移住し農業研修を受講している一年目の状態で既に来年からの販路の営業を開始。自宅で作った農作物を持参して見事販路を獲得していたという。そのガッツに驚愕した。今はJ1のヴァンフォーレ甲府の選手も白州杜苑の野菜を食べている。

辞めることは簡単、東京にも帰ることもできる中、「できるかできないかを考えるより、やるかやらないかを考えた方が性に合っている」と語る中嶋さん。将来は農業に従事しながらも、またアパレル業界に戻ったり、生産者の情報が見える面白い八百屋を構えたいという野心を持っている。また、北杜市で作れない作物を他の地域で作れることで、販路の拡大や消費者への選択肢が増えると考えていて、今は全国各地の農地にも注目してる。

農業の経験やスキル、設備、人材などはシェアするもの。そしてチームで取り組むことによって大規模にもなり、新天地での事業が展開されると考える。地域おこし協力隊、または農業に携わりたいという人たちには、独立に向けた実践形式の研修プログラムを組んでいる。自分で考え動ける人、常に疑問と関心を持ったやる気のある人は成長スピードが速い。経営状況、事業計画も全て協力隊員には公開し、実践と計画を照らし合わせて、現実的に進みたい方向を決めてもらっている。独立するのか、勤めるのか、どちらもテーブルに並べて選んでもらっている。責任を持って取り組める人であれば農園長というポディションで新天地の農地を任せたい、そう考えている。

自信を持って農業に携わる中嶋さんは、これからも全国各地に「苑」をつなげ続けると確信した。

<作物の種類(各作物の作付け規模)>レタス、ニンジン、大根、ピーマン、ナス、トマトなど
合計3町歩 ※1品目1反~3反

白州杜苑のホームページはこちら

オーガニックライフ八ヶ岳 大塚広夫さん

オーガニックライフ八ヶ岳大塚広夫さん

新規就農者、研修生、地域おこし協力隊など農業をしたいという人達と関わることが多い大塚さん。まず一番に確認することは「踏ん張れる環境にあるか」。農業をする上で適当なアドバイスはできない。ただ経営者という立場である以上、従業員の仕事を確保し、生計を立てていけるかも含めた人生のアドバイスをすることになる。モチベーションや経験値、力量に合わせて、具体的でかつ現実的な提案をしている。淡々と語る大塚さんは厳しいようで、温かいまなざしで寄り添って考えてくれている。
造園の大学院に進学し、コンサル業を経て、ご縁があり東京から北杜市に移住した。造園業15年、農業10年、昨年2018年には農業体験型レストラン・ハーベストテラス八ヶ岳をオープンした。職業柄、地元の人とのつながりが根強く、そして大切にしている。地元、就農者との信頼関係が築かれているからこそ、たくさんの事業が展開することができ、頼られる、と感じた。

<従業員数(協力隊除く)>
正社員4人、パート8人

<作物の種類(各作物の作付け規模)>
季節野菜全般、ミニトマト、とうもろこし、イチゴ、米など

オーガニックライフ八ヶ岳のホームページ ブログはこちら

白州郷牧場 内藤光さん

白州郷牧場内藤光さん

注目を浴びつつも効率が悪い、と言われることがある「有畜複合農業」。農園主として活躍している内藤光さんは耕種と畜産の組み合わせは、北杜の冬のような閑散期対策、また有機農業を志すものとして自然循環の仕組みを考えても、大事な手法だと語っている。有機野菜栽培、養鶏、加工品、直売所、レストラン(おっぽに亭こっこ)など多方面から白州の魅力を発信する白州郷牧場は、40年近く前に誕生した。子どもたちの自然体験プログラム「キララの学校」がこの牧場のもっとも基本とする歴史の長い活動で、農園主の内藤さんをはじめ、多くの若者が関わり、そして白州に戻ってきている。白州の風土が好きで何よりキララの学校で学んだこと、農業が仕事としても楽しかったと内藤さんは語ります。どこで何をするかも大切だが、誰と仕事をするのか、という人とのつながりを感じさせる白州郷牧場。

「牧場は深く甲斐駒ヶ岳に帰依し、敬天愛民の精神と利他の心を持って、生業に勤しめるよう努力しています。私たちが私たちであるために、誰かのためでなく、誰かを想い鶏を飼い、牛を飼い、畑を耕しつづけています」と語る代表の椎名盛男さんの言葉に、白州郷牧場の想いが詰まっている。

<従業員数>
正社員3名、パート30名
<作物の種類(各作物の作付け規模)>
20品目(葉物、トマト、ナス、いんげんなど、季節の有機野菜)、養鶏6000羽
冬はハウスでサンチェ、自然体験お米作り

白州郷牧場のホームページはこちら

ロケット農場 岸根正明さん

ロケット農場 岸根正明さん

『農業だけを追求するよりもまずは「人」を知ること。地域があるから仕事ができる』。人との距離の近さとどう向き合うかで田舎で農業する意義がわかると語るロケット農場代表の岸根さん。東京都から20年前に移住し農業を始めるが、今までにたくさんの苦労があった。当初、北杜市に住む地元の人々は、自分自身の限界や生き方を決めてしまう人が多いと感じたそう。今はよそ者が外から農業をしにくる時代にはなったが、代々の農地や建物を土足で入ってくる他人に貸してくれるわけがない。資源、土地、ルールも全て共有財産で大切にしている田舎の人をみて「田舎が正解」と思うようになってからはスムーズに進むようになったという。

陽気でユーモアあふれる岸根さんだが、根は真面目(らしい)。なぜこのような作り方なのか、細かい理由までしっかりと伝えることをモットーとしている。目標設定から逆算して考えることが大事。まずは「どんな野菜をどれだけ作りたいか」を考え、そして何より畑にでて実体験をして考えてほしい。「農場に来てくれればいくらでも教えますよ」と素敵な笑顔で語ってくれた。

<作物の種類(各作物の作付け規模)>
季節の有機野菜 35品目(2町歩5反)

ロケット農場のブログはこちら

みずがきベジタブル 藤田久雄さん

みずがきベジタブル藤田久雄さん

みずがきベジタブルとは、須玉町津金地区にある津金ファーム、増富地区にある小黒農場、渡部農場の3つの農場で設立した農業グループ。農薬や化学肥料に頼らない農業を志し、自然栽培を取り入れている。代表はそれぞれ同じNPOで農業に携わり独立した新規就農者であり移住者。当事者として何よりも大切にしていることは、後期高齢化している限界集落の農業の担い手不足や耕作放棄地問題を解消したい、若い人に関わってほしい、ということ。就農も移住する目的のステップの一つ。3つの農場でサポート体制があることが新規就農者には関わりやすいと感じた。また自然栽培界隈でもネットワークも確立しており、独自の販路、世間のニーズを抑えている。

津金ファームの藤田さんは、長らくIT業界で活躍し、その技術を活かし海外青年協力隊でアフリカのマラウイに赴任した経験がある。企業の基幹システムの開発、運用などを経て農業に従事した経緯は、家族の経営する「津金食堂」を訪れてみては。

みずがきベジタブルのホームページはこちら

<作物の種類(各作物の作付け規模)>
トマト、いんげん、サニーレタス、葉物類、夏野菜など

ROOSTER 徳光康平さん

ROOSTER 徳光康平さん

2011年3月11日、東日本大震災。「誰のせいにもできない。自分の責任で動かないと意味がない」。人気パンクバンドアンガーフレアーズのベーシストとして活躍していた徳光さんは、バンドマンとして発信できること以外にできることを考え、気付いたら一次産業の本を読み続けていた。そこで出会った一冊の本「自然卵養鶏」で養鶏の可能性に魅せられ、2015年、北杜市に移住し有機農業協力隊の門をたたいた。

「鶏も人間もストレスのない自由な状態がベスト」。消費量の多い日本では珍しいケージ(鳥かご)のない「ケージフリー」の平飼い養鶏を追及、県内外から注目を集めている。今は有畜複合を考え、歴史のある武川米を広める活動をしている。地元の落ち葉、鶏糞の堆肥でできたお米とROOSTERの卵のコラボレーションが待ち遠しい。
これまでの革ジャン・リーゼントスタイルは少し飽きたかな、とさわやかな笑顔で話してくれた。

ROOSTERのホームページはこちら

白州ファーム 西川誠一さん

白州ファーム 西川誠一さん

大きな転機だった東日本大震災の翌年の2012年、長年努めたアパレル業界を離れ、山岳部時代から馴染みのあった山梨県北杜市で農業を始めた。大型スーパー、都内のショップなど、短期間でたくさんの販路を開拓しているそのセンスは、アパレル時代の経験などの賜物。

「農業はチーム力」。西川さんが立ちあげた「チーム山梨」には白州、武川を中心とした農業者が加盟しており、それぞれが独立しながらも、販路、堆肥など、共有できる資源やノウハウをコスト面からカバーできるようなチーム作りを心がけている。また、JA梨北オーガニック部会を立ち上げ、JAとの連携も強化している。品種もこだわり、桜とまと、アスパラなど、特異性を活かして生産している。

農業でメシを喰く為に、モチベーションをあげるのではなく、ビジョンを与える。農業の厳しさと可能性を知っている西川さんは、農業を通して人間力を磨きたい、と常に真剣な表情で語ってくれた。と同時に「本当はゆっくり生活する為に移住してきたんだけどね。」と無邪気な笑顔を見せてくれた。

<従業員数>
パート 2名

<作物の種類(各作物の作付け規模)>
トマト、アスパラ、エンドウ豆、桃、柿、ニンジン、とうもろこし、ブロッコリー、椎茸(菌床)など

白州FARMのブログはこちら

NPOえがおつなげて 曽根原久司さん

NPOえがおつなげて 曽根原久司さん

東京にて金融経営コンサルを経て1995年白州に移住。北杜市に移住した当初は米や野菜を自分で作った直売所で販売したり、荒れ果てた里山の木を切りストーブ用の薪として販売し大成功。2001年にNPOを立ち上げ、耕作放棄地率の高い山梨県を「宝の山」と捉え、全国から募集したボランティア、また企業社員などと開墾を続けた。それ以来、農作業、里山の保全活動を実施する企業ファームを中心に農村都市交流を続け、全国の農業賞を数多く受賞している。全国各地で講演会をしている曽根原さんから見て、北杜市の農業レベルは上がっていて、中山間地域の問題は比較的改善されている地域の一つ。地域おこし協力隊の1年目はひたすら生産の技術を身につけ、2年目、3年目はビジネススキルを学ぶ時期。
中途半端な人は食っていけない。逆に今、貪欲に身につければ一生ものの財産になる。
是非、時間を有効に使ってほしい、と語ってくれた。

<農地面積> 
3ha
<作物、割合)>
米(8割)、野菜(2割)
その他の業務:水田の管理、圃場整備など

えがおつなげてのホームページはこちら

シタクビト 西川幸希さん

シタクビト西川幸希さん

「器量があれば貸してやる」。温泉で有名な増富で空家を探している時に言われた一言で、自分の進みたい原点が見えたと語るシタクビト代表の西川さん。「持ちつ持たれつ」が成り立つ社会であれば自然と地域活性化される。規模に関わらず、農家は共通の作業、課題を抱えているが、その助けになりたいと思ったこと、自分ができる役割は何かを追及して、今の活動に行きついた。本気で作ってくれた農作物をスムーズに消費者に届けることができれば、生産者が生産することに専念できると考え、野菜の集荷、配送、出荷作業事業を中心に活動している。他にも地域と農業を活用したビジネスをいくつも構想、実施している。また、たくさんの人と出会い、話し、伝え、つなげることが仕事だと語る西川さんは、その才能を活かしてFM八ヶ岳のパーソナリティも努めている。これからも仲良くなった人のサポート、事業支援の為、山梨県内界隈を駆け回っていくだろう。

eファーム 小野田等さん

eファーム小野田等さん

「農業は厳しい世界。ただ、ありがとう、と言われると苦しいことが全てが吹っ飛ぶんだ」
そう語るのはeファーム甲斐白州の農場長、小野田等さん。

20代は山梨県富士吉田市で重機を扱い現場に立っていたが、農家だった福島県南相馬市の実家に戻り一から農業を始める。販路ゼロから200件近くの販路を自らの足で獲得。農家民宿を営み、毎年たくさんの家族、学生が訪れていた。小野田さんの人柄からもあり、来場者から紹介を受け、東京なども県外からたくさん受注していた。

順調に思えた2011年3月11日。東日本大震災の未曾有の被害、原発事故を受けて農業ができなくなった。農業は厳しい世界、と語っていたその真意には、自然の脅威も含まれていた。福島を離れる決断、移住地でも農業を続ける覚悟で北杜市を訪れた。苦しい時には、お客さんからのありがとう、という原動力。北杜市に来てからもグリーンツーリズムの資格を活かし、農家民宿、子ども、学生、家族対象の農業体験をコーディネートしている。
水、空気がおいしい北杜市で福島と同じお米を作りたいと、世話好きな山梨県の集落にもしっかり溶け込んでいる。

<作物の種類(各作物の作付け規模)>
4町歩(米)、2町歩(さつまいも、もち大麦)、その他1町歩:野菜全般

北杜市農業企業コンソーシアム藤巻眞史さん

北杜市農業企業コンソーシアム 藤巻眞史さん

山梨市出身。明野の農地に惚れ、15年前から農業を始める。北杜市農業企業コンソーシアムは、コンソーシアム会員企業同士が、経営資源の有効活用や、農業の共通課題(雇用、物流、環境課題)を連携して解決すること、強いては地域農業全般の活性化を推進することを目的として作られた共同事業体。

「北杜市に住む人達がプライドを持って、地域を良いところにしてほしい」と代表の藤巻さんは、笑顔で答えてくれた。大らかな人柄は周囲からの人望が厚く、たくさんの役職の声もかかることも。コンソーシアム以外に従業員70名ほどを雇用する明野菜園アグリマインドを経営し、北杜市役所とも強い信頼関係の元、連携してプロジェクトを行っている。

独立して事業を始めるということは、全てのことを自分でこなしていく必要があるが、どうしても個人では限界がある。同業者同士が連携して役割分担、協力し合えれば、諸問題(販路など)も解決されると思い、コンソーシアムを設立。明野菜園アグリマインドなど複数の法人、団体を立ち上げている。どうしたら黒字経営できるか、冬の閑散期に従業員と一緒に生産性のある活動ができないか、13年間、常に追求していた。

地域全体で盛り上がるには食、農のブランド化が必要。地域おこし協力隊、または農業に携わりたいという人たちには「地域の魅力を発信し続けてほしい」と期待しているそう。移住、定住はもちろん、一農業従事者として、みなさんには目的と責任を持って農業に特化して生きて行ってほしいと願っている。責任を持って事業を進めていける人、行きたいと手を挙げてくれる人には、仕事を任せたいという思いがある。「よそ者、若者、アツくなれるバカ者が町づくりのキーマン」とアツく語っていただく。

<従業員数(協力隊除く)>
コンソーシアム1名(協力隊員のみ)
70名(明野菜園アグリマインド)

<作業内容、作物の種類(各作物の作付け規模)>
トマトの生産、仕入れ、加工、直売所の運営など

<現在の求人募集(一般公募)>
明野菜園アグリマインド、あけの農産物直売所にて募集

北杜市農業企業コンソーシアムのホームページはこちら

巨摩ファーム 藤原かおりさん

巨摩ファーム 藤原かおりさん

「野菜嫌いで、農業とは全く縁がない」東京生まれ東京育ちの藤原さんが、築200年のご両親の生家に移住してきたのは10年前。須玉町増富地区にて拠点を構える巨摩ファームは、自然豊かな山間地域。瑞牆山を拠点としたキャンプ場も経営していて、毎年たくさんの愛山家、家族が集まっている。農業も独自で研究を重ね、多品目から少品目にシフトチェンジし、地域おこし協力隊には作付け計画から全て、試行錯誤をしながら考え、研修が終わるまでに独立できるような研修を心がけている。藤原さんは非常にポジティブでアクティブな方。移住した当時、周囲でチャレンジしていなかった農家レストランも経営したり、バリ島ウブドに在住のグリーンスクール創設者ジョン・ハーディ氏に刺激を受け、「学校」「コミュニティ」を増富に作りたい、など目標が絶えない。何かを始めるのに理由はない、全てご縁、お導きで始まったと語る藤原さんは、移住者には夢を持ってほしいと願っている。常にワクワクすることを追及し語っている姿は、それだけで周囲に生きる力、環境を提供しているのだと感じた。

<作物の種類(各作物の作付け規模)>
1.5町歩
とうもろこし、えだまめ、きゅうり、じゃがいも、さつまいも、トマト、かぼちゃ、パプリカなど

巨摩ファームのホームページはこちら

北杜市の農業

他にも、支援機関としては、下記の団体が登録している(2018年3月現在)
ただ、今、積極的に受け入れているかは、定かではない。

地域おこし協力隊の情報を調べても、下記のような情報しかなく、
実際にどのような活動ができるのか、移住者が思う地域おこし協力隊像と一致するのか、農業に専念、独立する環境にあるのかなど、下記のような箇条書きでは、中々見えてこないのも事実。

■合同会社明野市場  深澤利雄さん(住所:明野町上手7585-3) ※加工販売など
■(株)明野九州屋ファーム 赤塚健次さん(住所:明野町上手13753番) ※施設野菜など
■(農)営農たかね 中村恭治さん(住所:高根町村山北割1234) ※水稲・野菜など
■中込農産(株) 中込豊さん(住所:武川町牧原1622)  ※野菜・水稲など
■合同会社八ヶ岳南麓ファーム 八巻珍男さん(住所:大泉町西井出2128)※有機農業、自然栽培、お米、野菜など
■(株)ドームファーム 大堀裕康さん(住所:白州町白須5681-1) ※施設野菜
■(株)おいしい学校 菊原忍さん (住所:須玉町下津金3058) ※加工品など
■(有)梶原農場 梶原雅巳さん(住所:高根町下黒沢447) ※有機農業など
■(株)あけの 幡野福馬さん(住所:明野町浅尾新田968) ※明野金時生産・加工など
■(株)竜土自然農園おひさまの里 菅原文子さん (住所:明野町浅尾5259)※有機農業
■NPO法人文化資源活用協会 大塚謙一さん(住所:須玉町下津金2461)※都市交流・田舎暮らし体験など
■農事組合グットファーム  坂本貴司さん(住所:長坂上条) ※有機農業など
■株式会社リコペル 米田茂之さん(住所:白州町鳥原57-2) ※施設野菜(トマト)など
■明野SANグループ  白木正国さん(住所:明野町浅尾5689) ※観光農園・商品開発など
■自然農園ビヨンド 室田泰文さん(住所:明野町小笠原3562) ※観光農園など

山梨県立農業大学校

番外編だが、北杜市には、山梨県立農業大学校がある
ホームページはこちら

ハローワークの失業給付金制度(職業訓練生)の一環で、失業中にこの学校に「給付金」をいただきながら学校に通って農業を学ぶこともできる。短期コース(半年)、長期コース(9か月)とあり、果樹、有機などコースにも分かれている。
重機の研修や北杜市内の農家さんへの定期的な課外研修など、座学や研修、実践形式の学びが得られる。

北杜市に移住し農業に関わりたいと考えている方は検索するとヒットするはず。
この大学校がきっかけで、1年後には就農するビジョンで関わっていたり、就職を決める人もいる。
また学んでいる間に、住居探しや基盤作りをするような人も多い。
ちなみに、三浦家もそのうちの1家族である。

研修生を含め、たくさんの移住者、農を志す人が出入りしている場所として、紹介したい農場がある。

畑山農場 畑山貴宏さん

畑山農場 畑山貴宏さん

北海道出身、筑波大学、大学院卒。
自然が好きで自然の中で働きたいと考えていた時、アルバイトがきっかけで野菜のおいしさ、有機農業に興味を持つ。全国の有機農業を回り、研修などを経て、北杜市に移住。
自然の中で仕事ができ、自分の考え方を形にできて、成果も出るやりがいのある仕事だと、様々な農業のスタイルを研究、実践。これまでたくさんの農業研修生と関わり、新規就農者を支えている。
また農家さんに働きかけて、共同出荷グループを作ったりと北杜市有機農業界の中心的な人物。

畑山農場ホームページはこちら

自給農園めぐみの 湯本高士さん

自給農園めぐみの 湯本高士さん

東京都出身 東京農業大学国際工業開発学科卒
子どものころから食の安全、飢餓など世界的な視野で「食」に対して関心が高く、スーパーで野菜を買わないと食べれない、という状況に疑問を持つ。次第に国内の農業を立て直す為には、ということを考えるようになり、大学卒業後には、自社の農場も経営している外食産業の企業に入社。外食店店長を経験した後、農場部門へ転籍。大規模有機農業を学ぶと共に、持続可能な農業、生き方でないと考え、2010年に山梨県に移住。自然栽培を志し、個人宅配サービスを中心に、自給菜園講座、シェア田んぼなどを実施。手作りの暮らしをしたい、という移住者が多く訪れる。

自給農園めぐのみのホームページはこちら

左:自給農園めぐみの・湯本さん 右:畑山農場・畑山さん

北杜市には、他にも面白い農家、それぞれのネットワーク、コミュニティで農業をしている人達がまだまだいる。

これからもたくさんの人に出会って行きたい。

自分流就農スタイル

自分は、北杜市でどんな農業がしたいのか?
どんな生き方がしたいのか?

それによって、またアドバイスが変わる。

新規就農者の就農まで道のりを考える

①専業農業(流通、量販、直販、農業体験、特殊な栽培、加工等、全般)
②兼業農業(前職を活かした副業+農業)
③自給農業(週末農業など)

農を通して、北杜市に移住を考えている方、興味がある方は、相談いただければ、多少なりともお答できることがあると思う。

私もまだ道の途中。
思考錯誤して、時間をかけてでも自分のカタチを考え、貫いたら答えが出る。

そして、「決断」したら邁進する。
それの繰り返し、と思う。

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ABOUTこの記事をかいた人

30代・二児の新米主夫。田舎に生まれ育ち、世界一周、国際協力を経て、山梨県北杜市に家族で移住。転職、ゼロからのスタート。念のためJターン。目的を持った人が集まる場所作り計画中。生き方を振り返る記録や自己紹介になるブログ。都会から田舎への移住生活、田舎暮らし、農的暮らし、旅、家族について書き連ねる。 #山梨県 #北杜市 #移住 #家族 #子育て #世界一周 #田舎暮らし #農業 #くだらない写真 #農的暮らし #家族 #主夫#世界一周 #旅